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私的コインマジック傑作選!ギミック編

ギミック縛りのコインマジック傑作選のアイキャッチ
この記事の執筆者
ユウマジック歴20年

マジックとの最初の出会いは、小学校の図書館にあったトランプマンの本。その後、TVで観た前田知洋やセロのマジックに魅了され本気でのめり込む。Dan and Dave、アルス、ポン太・the・スミス、Avi Yapが特に好き。

ここではギミックコイン、あるいは仕掛けのある小道具が必要な傑作コインマジックを紹介します。

目次

1. CoinONE(Homer Liwag)

Homer Liwagによるスーパービジュアルな「コインズアクロス」。指先でコインを持つ「3FLY」とは違い、こちらは手のひらオープン状態で移動するため、コインを隠し持ってる感がなく、より公明正大に見せられる。キッカー要素は好みが分かれそうですが、自分は好き。キッカー要素無しで演じたいならAsi Windの動画を参考にするといいですよ。

2. Shell Coins Across(David Roth)

ロスの超ベーシックな「シェルコインズアクロス」。「CoinONE」が演じにくいような環境では特に重宝しています。まあ皆やってるでしょうし、特に言うことありません。安定のコインマジック。

3. The Moon(佐藤喜義 & TCC)

幻想的で一番好きなコインマジック。佐藤喜義とTCCによるPaul Harris「Twilight」のバリエーション。1枚のコインに鏡を映すと虚像が1枚ずつ現実化して4枚に増えるが、鏡の中にへ溶けていくように消えて1枚に戻る。4枚に増えるまでのハンドリングが佐藤喜義で、消えていく部分をTCCが付け足したようです。

ただ、消えていくのは本当にそうあるべきと思うのですが、マッスルパスのクリックパスを使用して2枚同時に消す部分だけがどうしても好きになれませんでした。動画で見てもそんなに説得力あるとは思えなかったですし、やっぱり1枚ずつ消したい。1枚目の消失がクリーンな分、2,3枚目をフェイクパスで消すのは改めもできなくてちょっと弱いとも思いました。考えていたのですが3重シェルで解決できることに気づいて、自分はこれを演じるためにシナノクラフト製3重シェルとTCCの緑のクロースアップパッドを買いました。

シナノクラフト製3重シェルはクオリティが高く、TCCのクロースアップパッドも緑の色合がめちゃくちゃいいのですけど、「The Moon」で使用する秘密の動作をするにはちょっと不向きなところもあります。シェルは横から見てもわからないぐらい深く被さるので秘密の動作がやりにくく、パッドはもう少し沈み込みが欲しい。でも浅いシェルを使うのもそれはそれでどうなんって思うので、とりあえずMacomical Shop製1cm厚クロースアップパッドを購入しようかと思ってます。

4. SCB with VDR(武宮将)

フレンチドロップ店長の武宮将による『VDR』を使用する「CSB」。最初と最後にコインを改めさせられるクリーンな手順。しかも簡単。困ったときはこれやってます。『クライス社製CSB』のフレンチドロップ購入特典だったようですが、パフォーマンス映像を観れば簡単に追えると思います。

5. The Philosopher’s Coin(Avi Yap)

3種のコインと見えないコインを取り出し、見えないコインを3種のコインに近づけると、それぞれのコインに変化する。Vanishing Inc.のMasterclassで解説されているものですが、『FIRE CSB』に付いてくる解説手順とほぼ同じで、後者はギミックに合わせて解説手順も最適化されてるみたいです。

個人的にはカッパーからブラスに変化させる箇所が苦手なのでやりやすいように変えてますが、持ち替えが増えてお手本のような改悪になっているのでできれば原案通りにやりたい。1枚のシルバーがビジュアルにカッパーとブラスの2枚になるところが一番の見どころ。レクチャーノートでも解説されている「Contact Change」を使うやつ。落として変化させてもいいですけど、『FIRE CSB』のデモでやってるようにキャッチしたほうがビジュアル。明確な頑張りポイントですが、ミスったらギミックが露呈するので結構リスキー。自信つくまでは落とすほうでいいと思います。自分は当たり前のように落とすほうでやってます。

6. Monarch(Avi Yap)

Avi版「チンカチンク」。ダニエルガルシアの技法を応用することで、ルーティンの随所で手が空であることを暗に示しつつ、バックファイヤーを手順の中盤に組み込むことで現象に必然性が生まれています。演者の負担も少なく、「チンカチンク」の中でもかなり完成度の高い手順ではないでしょうか。リクエストに応じて、「クイックマトリクス(Instant Travels)」に繋げることもできます。オフビート中にゴニョゴニョする必要はありますが。

ちなみに、単独発売されているものに付属するAlchemi製のレプリカコイン、燻加工は数ヶ月でそれなりに落ちてしまいますが、それでもニッケルケネディより重みがあって銅の嫌な臭いが手に付かないので結構良かったです。自分は手放してしまいましたが、練習用に持っておけばよかったと若干後悔しています。コインがまだ揃ってない方であれば、ウォーキングリバティ・バーバー・モルガンのいずれかのバージョンは買って損はないかと。

7. Winged CSB(Isaac Wong)

Aviの「Winged Silver」のインターナショナル版。基本的なハンドリングはほぼ同じでエキストラをギミックコインに変えるだけで達成でき、演技後は当然手渡し可能。インターナショナル版ってややマニアックで基本マジシャン向けだと思うけど、「よくわからないけど余分なコイン使ってるんでしょ」みたいなことを薄っすらと思っているような一般客相手からも良い反応が貰えます。AviのMasterclassで解説されていますが、Isaac本人の演技動画も載せておきます。

8. Threaded(Avi Yap)

トロイ・フーザーの「チャーミング・チャイニーズ・チャレンジ(CCC)」のAvi版。リボンに通した3枚のチャイニーズコインが1枚ずつ貫通する。3枚目も貫通すると見せかけて2枚が戻ってくるというバックファイアの見せ方がめちゃくちゃ素敵。このバックファイアを見なければ「CCC」に興味を持つことはなかったです。

「Threaded」は『SICK2』収録「PPP」に影響を受けているようですが、後にポン太が「Threaded」に影響を受けて「PPP2」でノーギミック・ノーエキストラ・ノーテーブルでバックファイアを達成しています。「PPP2」もめちゃくちゃいいのですが、ハンドリングの無理のなさとバックファイアのインパクトは「Threaded」のほうが強いなと思うので、基本こっちをやりたいですね。バックファイアを途中で取り入れるところは「Monarch」とも共通していて、一貫性があっていいですよね。

ちなみにCoinLudensによるAvi YapスペシャルレクチャーではThreadedの別バージョンのバックファイアの方法も解説されており、この方法ならノーテーブルでバックファイアが行えます。テーブルがないとできないという弱点を克服しただけでなく、オリジナルの手法以上にバックファイアのインパクトがあり、今のところ一番好きなCCCです。その分難しいですけどね。ただ、期間限定公開のコンテンツだったため、現在では参照できないのが勿体ないですね。未見の方は別の形で解説されるのを待ちましょう。

9. Transposition(ポン太 the スミス)

インポッシブルカンパニーの某ギミックコイン購入時、特典に収録されていた手順。現在取り扱いがないのが残念。銀貨を取り出し、簡易的な「ワンコインルーティン」を演じた後、観客に銀貨を握ってもらう。演者は銅貨を取り出し、おまじないをかけると銅貨と銀貨が入れ替わってしまうというシンプルな「カッパー&シルバー」。

観客自身の手で握ったコインが変わるので反応もよく、演技後にコインの改めも可能(ちゃんとレギュラー)でしかも簡単というかなり実用的な手順。観客はちゃんと銀貨を見ながら握るのですり替えの余地がないのがポイント。直接的で一見リスキーな手法ですが、その辺も計算されており、普通に演じれば事故ることはないです。現象だけでみればUltimate C/SとかMagnetic C/Sギミック使った手順のほうが不思議なのですが、こちらのように手順もコイン構成もシンプルでフットワークの軽いやつは出番が多くて重宝します。

10. Hysteria(Chad Long)

チャドロングの片手で行う「チンカチンク」。『Chad Long’s Magic DVD volume Ⅲ』収録「1 Hand – 4 Coins」と同じものだと思われます。持っていないので確認できませんが。私はPhilippe Bougard and Clement Kerstenneの『F****** Coins』収録「Matrix manchot」で覚えました。「Matrix manchot」は両手の「チンカチンク」→片手の「チンカチンク」→携帯が出てくるみたいな流れになっていますが、私は片手パートしかやりません。片手の部分はチャドとほぼ同じで片手のバックファイアも解説されているのでオススメです。が、バックファイアを魔法のように綺麗に見せるのは結構難しいので、無理にバックファイアをやらなくてもいいとは思っています。また、そもそも今はわりと入手困難です。

わざわざ片手にする意味あるのって感じなんですけど、片手には片手の良さがあって、うまくやれば本当に手をかざしてるだけで移動してるように見えるんですよね。両手のチンカチンクも手をかざしてるだけといえばそうなんですけど、片手は消失と移動が同じ手の中で行われるため、コインを操作してるような動作が無くなるんですよね。その結果、魔法感が増してます。片手で4枚全てを覆える程度の大きさの配置にしかできないので、デメリットも少なくないですが。けど、逆に一番のメリットが省スペースでできるところでもあるので、普通の「チンカチンク」を演じられるようなスペースはなくても、片手のこれなら演じられるってケースは結構あります。そういうときに使えるやつですね。

11. Coin to Pocket(堀木智也)

4枚のコインが1枚ずつポケットに飛行します。演じるには胸ポケットのある服でなければならず、私はあまり胸ポケットのある服を着ないため演じる機会がほとんどないのですが、これのために胸ポケットのある服をデフォにしようかと思うぐらいにはいいです。ノーギミック・ノーエキストラでもできますが、解説でも書かれているようにギミックコインを使うと超ラクになります。エリック・ジョーンズの「Audio」ではどうしても不自然になってしまうあの部分を解消した傑作です。

残念ながら「Coin to Pocket」が解説されているレクチャーノート『Progress Principle』は入手困難です。ただ、クリエイティアの超支援プランで支援すれば、「過去に発表したレクチャーノートの電子版をGoogle Driveを通じて閲覧できます(要個別連絡・ダウンロード不可)。」と記載されていたので、連絡すれば読めるのではないでしょうか。

12. COINS THROUGH THE TABLE(Luis Piedrahita)

かなり実用的なコインスルーザテーブル&グラス。以前はトロイフーザーのフリッパーコインを使用したコインスルーザテーブルを演じていましたが、今はこちらをよく演じています。コインスルーザテーブル系ってどうしても最後の1枚どうする問題が付き纏うのですが、こちらは最後の1枚も貫通すると思わせてテーブル下の3枚がテーブル上に貫通させることで解決しています。

最後の1枚ってクライマックスなので、めちゃくちゃクリーンかつビジュアルに貫通させるか、逆に下から3枚を貫通させるかの基本どちらかですよね。でも、前者はかなり厳しいように思います。ラッピングやフェイクパス・フェイクテイク系の技法での貫通も十分不思議ですけど、1〜3枚目までの貫通よりも不思議かと言われると微妙ですよね。特に1〜3枚目までの貫通にフリッパーコインを使用した場合、めちゃくちゃビジュアルなので明らかに劣って見えます。もし、最後の1枚を綺麗に貫通させるならガラステーブルでやるしかないと思ってます。1〜3枚目まではマットやハンカチなどで覆って、4枚目でガラステーブルにする感じ。でも、ガラステーブルで演じる機会ってありそうで全然ないので、実用的なのはこれが今のところベストかなと思っています。

13. In Transit(Curtis Kam & Lost Art Magic)

4枚の銀貨ではなく、3枚の銀貨と1枚のチャイニーズコインで行うコインズアクロス。ロスの「シェルコインズアクロス」をベースに、最後は観客が握ったチャイニーズコインが銀貨に変わる所謂カッパー&シルバーで終わる。

これめっちゃくちゃいいです。シェルコインズアクロス系も最後の1枚どうする問題があって、スリービング使える状況ならスリービングでいいと思うのですが、使えない場合はちょっと悩むのは私だけでしょうか。スパイダーバニッシュ等のサッカーバニッシュやリテンションバニッシュでもいいのですが、やっぱりはっきりと両手が空であることを示したいし、かといって『SICK』の「Vanish」も囲まれていたり失敗できない状況ではやりたくない。時計しない人間なのでアレもできません。マジックするなら嫌でも時計したほうがいいのはわかっているのですが。

しかし、「In Transit」はオチがカッパー&シルバーで、その直前にラスト1枚の飛行をやるからか不思議とサッカーバニッシュやリテンションバニッシュでも抵抗感がないんですよね。

現象発生の起点も、最初はマジシャンの手から手へ。次はマジシャンの手から観客の手へ。最後は観客の手から観客の手へ。と徐々に不可能性が増すような流れになっており、隙がありません。

難易度もシェルコインズアクロスができる人なら即実践投入できるレベルでかなり易しいです。

観客に握らせる都合上、チャイニーズコインではなく穴の空いていない銅貨のほうがバレにくくはなります。わかりやすさとバレにくさのどっちを取るかで、個人的にはバレにくさを取って銅貨にしたい気持ちが強いです。

14. Inferential C/S Transposition(Curtis Kam)

現象は以下の通り。
数枚の小銭の中から銅貨2枚と銀貨1枚を取り出し、銀貨を観客に握ってもらい、わかりやすいように同色の小さいコインを上に乗せる。もう一人の観客、あるいは握らせた観客のもう片方の手に銅貨を握ってもらい、同様に小さいコインを乗せる。小さいコインを入れ替えると握ったコインも入れ替わる。

カーティスカムによるC/Sルーティン。ギミックが生み出す錯覚によってほぼセルフワーキングでできます。40年以上前に発表されたトリックですが、今でも全然通用する良いマジックです。カーティスカムの公式サイトによればApocalypse, vol. 6, no. 3 Lorayne (1983)が初出のようです。Kainoa Harbottleの『Inferential』でも解説されています。

唯一気になったのは、残った銅貨1枚を数枚の小銭と一緒にポケットに仕舞う部分。結局使わないのになんで取り出したの?って思う観客は少ないでしょうが、演じる側としては気になってしまいます。なので、観客が二人以上いる場合は小さいコインを入れ替える前に、もう一人の観客に対してTransposition(ポン太 the スミス)の後半部分を演じています。

ポケットに仕舞わないので、わざわざ演技で使わない小銭を用意する必要もなく、むしろTranspositionを演じる上では不自然になるので、必要なコインのみを取り出すことにしています。

また、コインの入れ替わりをマジシャンの手 – 観客の手から観客の手 – 観客の手と段階的に見せることでより不可能性が高まります。ギミックも観客に気づかれない形でマジシャンの手の中に戻ってくるので、小さいコインを入れ替える時にいつでも処理できます。


というわけでギミック使用のコインマジック傑作選でした。

コインアセンブリー、コインボックスやスーパートリプルコインを使用した色々等も載せてもよかったのですが、まだ自分の中で納得いってないところもそれなりにあるので、一旦保留としています。

どれも実用的なものばかりなので、ギミック初めてという方はこの辺から覚えていけばいいんじゃないでしょうか。

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