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トルコアイスはなぜ伸びる?SNSで話題の謎を科学と文化で完全解明!

トルコアイス

この記事を書いた人

結城 健太 (Yuki Kenta)

食文化ジャーナリスト / フードエッセイスト

世界の食の歴史と、その背景にある科学・文化の探求をライフワークとする。特に地中海・中東地域の食文化に造詣が深い。Webマガジン「Foodie’s Journey」での連載や、著書『食卓の世界史』で知られる。

「その『なぜ?』、すごく良い視点ですね!食べ物の裏側にある物語を知ると、いつもの味が何倍も面白くなるんです。一緒に謎を解き明かしていきましょう。」


SNSで見た、あの不思議に伸びるアイスクリーム。思わず「なぜ?」と声に出ませんでしたか?ご安心ください、その好奇心こそが、食の世界を何倍も面白くする入り口です。この記事では、私、食文化ジャーナリストの結城が、トルコアイスが「伸びる」正体を科学的な視点と文化的な背景から徹底解説します。「サーレップ」という魔法の粉の秘密を解き明かし、読み終わる頃には、あなたも誰かにこの面白い話を披露したくなっているはずです。

目次

「なんであんなに伸びるの?」その疑問、実は本質を突いています

私も初めてトルコアイスのパフォーマンスを見た時、正直に言うと「面白い客寄せだな」くらいにしか思っていませんでした。しかし、専門家として「トルコアイスは、なぜ伸びるのですか?」という質問を何度も受けるうちに、この問いこそがトルコアイスの魂に繋がる鍵なのだと気づかされたのです。

多くの人が注目するあの「伸び」は、単なるエンターテイメントのために生まれたわけではありません。トルコアイスの「伸び」は、トルコの厳しい自然環境と、そこで暮らす人々の300年以上にわたる知恵が生み出した、食文化の結晶そのものなのです。あなたのその純粋な疑問は、まさにトルコアイスの物語の核心へと続く扉だったのです。

伸びる謎の答えは「サーレップ」- 絶滅危惧種のランが持つ魔法の力

結論からお伝えしましょう。トルコアイスが伸びる秘密の答えは、「サーレップ(Salep)」という名の粉末にあります。

本物のトルコアイス、正式には「マラシュ・ドンドルマ」と呼ばれるこのアイスクリームは、このサーレップを必須の原材料としています。そして、サーレップの正体は、トルコなどの山岳地帯に自生する野生ランの球根を乾燥させて粉末にしたものなのです。

このサーレップには、「グルコマンナン」という成分が豊富に含まれています。グルコマンナンは、日本の食品で言えばこんにゃくの主成分としても知られる水溶性食物繊維の一種です。グルコマンナンが水分を吸収することが原因となり、結果として他に類を見ないほどの強い粘性が生まれます。このグルコマンナンの働きこそが、トルコアイスが驚くほど伸びる科学的な理由なのです。

日本の「トルコ風アイス」と本物は何が違う?輸出禁止の裏側

「それなら、日本で売っているトルコアイスもサーレップ入り?」と疑問に思うかもしれません。ここで重要な事実をお伝えする必要があります。

現在、日本で市販されている製品のほとんどは、本物の「マラシュ・ドンドルマ」ではなく、「トルコ風アイス」です。本物のマラシュ・ドンドルマと日本のトルコ風アイスは、決定的な違いがあります。その理由は、主原料であるサーレップの希少性にあります。

サーレップの原料となる野生ランは、乱獲によって絶滅の危機に瀕しており、ワシントン条約による国際取引の規制対象となっています。そのため、トルコは国策としてサーレップの国外輸出を厳しく禁止しているのです。

この事実から、日本のメーカーはサーレップの代替品として、増粘多糖類(こんにゃく粉、タピオカ、でんぷんなど)を使用して、あの独特の食感を再現しています。両者の違いを以下の表にまとめました。


📊 「本物」と「トルコ風アイス」の決定的な違い

項目本物(マラシュ・ドンドルマ)日本で食べられるトルコ風アイス
主原料山羊のミルク、サーレップ牛乳、砂糖、増粘多糖類など
伸びの元グルコマンナン(サーレップ由来)こんにゃく粉、でんぷん等
希少性非常に高い(輸出禁止)低い(代替品で製造可能)
食べられる場所原則としてトルコ国内のみ日本国内のスーパーやコンビニ

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: もしトルコを訪れる機会があれば、ぜひ「MADO」というお店を探してみてください。

なぜなら、「MADO」はカフラマンマラシュ発祥の老舗で、本物のマラシュ・ドンドルマを味わえる最も有名で信頼のおけるチェーン店だからです。多くの人がトルコでドンドゥルマを食べたつもりでも、実は観光客向けの簡易版だったというケースは少なくありません。本物の味と文化を体験するなら、この「MADO」の看板が目印です。

よくある質問 FAQ

「ドンドゥルマ」ってどういう意味ですか?

「ドンドゥルマ(Dondurma)」は、トルコ語で「凍らせたもの」という意味で、アイスクリーム全般を指す言葉です。私たちがイメージする「伸びるアイス」の正式名称は、発祥の地の名前がついた「マラシュ・ドンドルマ」となります。

あのパフォーマンスに意味はあるのですか?

あのパフォーマンスは、もともとアイスを練って粘り気を出すための職人技がエンターテイメントに進化したものです。粘り気が非常に強いため、ヘラで練りながら空気を含ませ、柔らかく保つという実用的な意味合いも含まれています。

トルコアイスは家で作れますか?

本物のサーレップは日本では入手困難なため、完全な再現は難しいです。しかし、片栗粉やコーンスターチ、あるいは市販のこんにゃく粉などを使って、家庭で「トルコ風アイス」の食感に近いものを作るレシピは存在します。

まとめ:一杯のアイスに隠された、壮大な物語

トルコアイスの不思議な「伸び」の秘密、お楽しみいただけたでしょうか。

  • あの伸びの正体は、野生ランの球根から作られる「サーレップ」に含まれる「グルコマンナン」の力でした。
  • そしてその一杯は、トルコの厳しい自然が生んだ食の知恵であり、守るべき希少な文化遺産でもあったのです。
  • 日本で手軽に楽しめる「トルコ風アイス」は、先人の知恵を現代の技術で再現しようとした努力の結晶と言えるでしょう。

これであなたもトルコアイス博士です。次にあの映像を見かけたら、きっと隣の人にその秘密を話したくなりますよ。食の裏側にある物語に興味が湧いたら、ぜひ他の食文化の謎も探求してみてください。


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