この記事を書いた人
Kaori / おうちパン研究家
大手料理教室で「初心者のためのパン作り」コースを5年間担当し、3,000人以上の「初めて」に寄り添ってきました。自身の経験から、高価な道具や特別な才能がなくても、いくつかの科学的な「なぜ?」を理解するだけで、誰でも美味しいパンが焼けることを実感。現在は、家庭で再現可能なメソッドをブログやSNSで発信しています。あなたの「パン作りは難しそう」という気持ちを「私にもできた!」という喜びに変える伴走者です。
こんにちは、おうちパン研究家のKaoriです。
カフェで食べるあの香ばしくて、ちょっと塩気のきいたプレッツェル。「家で作れたら素敵だな」と思いませんか?でも、パン作りって何だか難しそう、特別な道具も必要そう…と一歩踏み出せないあなたへ。
この記事を読めば、お菓子作りが全く初めての方でも、特別な道具を買い揃える必要なく、驚くほど美味しいプレッツェルが作れるようになります。
なぜなら、この記事は単なるレシピの紹介ではありません。多くの初心者が躓いてしまうポイントと「なぜそうするのか?」という科学的な理由を、どこよりもやさしく解説する「一番やさしいプレッツェル教室」だからです。
この記事を読み終える頃には、プレッツェル作りへの不安が自信に変わり、今週末にキッチンでプレッツェルを焼いているご自身の姿が目に浮かぶはずですよ。
「でも、パン作りって…」初心者が本当に不安な3つのこと
パン作りに挑戦しようと思った時、頭に浮かぶ不安は皆さん同じようなことだったりします。私の教室に来られる生徒さんからも、よくこんなご質問をいただきます。
- 「やっぱり、パンをこねる機械(スタンドミキサー)みたいな特別な道具がないとダメなんでしょ?」 気持ちはとてもよく分かります。パン屋さんの厨房には大きな機械がありますものね。でも、心配いりません。プレッツェル作りは、あなたの「手」があれば大丈夫。手でこねる「手ごね」でも、十分に美味しい生地が作れる方法をこの記事でご紹介します。
- 「レシピ通りにやっても、生地がベタベタしてまとまらなさそう…」 これも、パン作り初心者が必ず通る道です。生地が手にくっついてくると、パニックになってしまいますよね。生地がベタつくのにはちゃんと理由があります。その理由と、そうなった時の対処法を知っていれば、もう怖くありません。
- 「家で焼いても、お店みたいなツヤツヤの茶色い焼き色にならないんじゃ?」 あの独特な焼き色は、プレッツェルの大きな魅力ですよね。専門のお店では「ラウゲン液」という少し危険な薬品を使うこともありますが、家庭ではもっと安全な、どこのご家庭のキッチンにもある“あるもの”を使うだけで、あの本格的な焼き色と風味を再現できるんです。
いかがでしょうか。あなたの不安も、この中にあったかもしれませんね。大丈夫です、この記事で、これらの不安はすべて解決できますよ。
プレッツェルの“あの味”の正体は、キッチンにある「重曹」だった
さて、先ほどの不安の3つ目に出てきた「お店みたいな焼き色」の秘密について、少しだけ科学のお話をしましょう。プレッツェルの品質を決定づける重要な要素は、実はキッチンにある「重曹(ベーキングソーダ)」なんです。
プロが使う「ラウゲン液」は強いアルカリ性の液体で、パン生地の表面に塗ることで、焼いた時に「メイラード反応」という化学反応を促進させます。このメイラード反応が、プレッツェル特有の香ばしい風味と、あの美しい茶色の焼き色を生み出す正体です。
しかし、ラウゲン液は家庭で扱うには危険すぎます。そこで登場するのが、安全なアルカリ性物質である重曹です。プレッツェル作りにおける重曹は、危険なラウゲン液の安全な代替品であり、プレッツェル特有の焼き色と風味を生み出すための鍵となります。
重曹を溶かしたお湯で生地をさっと茹でてから焼くことで、生地の表面がアルカリ性に傾き、オーブンの中でメイラード反応が活発に起こります。難しい話は抜きにして、「重曹で茹でるひと手間で、パンが劇的に美味しく変身する」と覚えておけば大丈夫です。だから、危険な薬品を使わなくても、重曹で十分本格的なプレッツェルになるんですよ。
【全工程写真付き】道具はこれだけ!一番やさしいプレッツェルレシピ
お待たせしました!それでは、実際にプレッツェルを作っていきましょう。ここからは、各工程を写真付きで丁寧に解説していきますので、あなたのペースでついてきてくださいね。
準備する材料と道具(本当にこれだけでOK!)
まずは材料と道具を揃えましょう。特別なものは何もありません。
材料(6個分)
- 強力粉:250g
- ドライイースト:3g
- 砂糖:15g
- 塩:4g
- ぬるま湯(40℃くらい):140ml
- 無塩バター(室温に戻す):20g
- 【茹でる用】お湯:1リットル
- 【茹でる用】重曹:大さじ2
- 【トッピング用】岩塩:適量
道具
- ボウル
- カード(または木べら)
- ラップ
- クッキングシート
- 鍋
- 網じゃくし(またはフライ返し)
工程1:生地をこねる(ベタベタとの戦い方)
ここが最初の山場ですが、コツさえ掴めば大丈夫です!
- ボウルに強力粉、ドライイースト、砂糖、塩を入れ、軽く混ぜ合わせます。
- ぬるま湯をイーストめがけて注ぎ入れ、カードで混ぜてひとまとめにします。
- 台の上に取り出し、バターを加えて本格的にこねていきます。ここから約15分、頑張りましょう!
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 生地がベタついても、焦って粉(打ち粉)を足しすぎないでください。
なぜなら、このベタつきは、水分と粉がまだ馴染んでいないだけのサインだからです。多くの初心者はここで不安になって粉を足し、結果的に硬いパンになってしまいます。手ごねという作業によって、強力粉に含まれるグルテンが引き出され、生地のコシと食感が生まれます。最初はベタついても、5〜10分こね続けると、グルテンの網目構造ができてきて、驚くほど生地がまとまってきます。この変化をぜひ楽しんでください。
工程2:発酵させる(生地が膨らむのを待つワクワク時間)
生地がなめらかになったら、一次発酵です。
- 生地を丸めてボウルに入れ、ラップをします。
- オーブンの発酵機能(35℃で40分〜50分)や、暖かい場所に置いて、生地が2倍の大きさになるまで待ちます。ドライイーストが糖を分解することでガスが発生し、生地が膨らむ(発酵する)のがこの工程です。
工程3:成形する(あの独特な形、実は簡単!)
発酵が終わったら、いよいよプレッツェルの形にしていきます。
- 生地を6等分し、それぞれを丸めて10分休ませます(ベンチタイム)。
- 生地を30cmほどの均一な太さの紐状に伸ばします。
- 紐の両端を持ち、U字の形にします。
- 両端を2回ねじり、U字の上部にくっつけたら、プレッツェルの形の完成です!
工程4:ケトリング(重曹のお風呂で魔法をかける)
ここが、美味しさの魔法をかける「ケトリング」の工程です。
- 鍋にお湯を沸かし、重曹を溶かします。
- 成形した生地をクッキングシートごと鍋に入れ、片面15秒ずつ、合計30秒茹でます。
- 網じゃくしでそっとすくい上げ、水気を切って天板に並べます。美しいプレッツェルを作るには、必ず「成形」してから「ケトリング」するという、この前後関係がとても重要です。
工程5:焼成(オーブンから漂う香ばしい香り)
いよいよ最後の工程、焼成です。
- 茹で上がった生地の表面に、岩塩をパラパラと振りかけます。
- 210℃に予熱したオーブンで、12分〜15分焼きます。
- こんがりと美しい焼き色がついたら完成です!
もっと美味しく!アレンジと保存方法Q&A
基本のプレッツェルが焼けたら、次はアレンジも楽しみたくなりますよね。よくいただく質問にQ&A形式でお答えします。
- 甘いプレッツェルも作れますか?
-
はい、作れます。焼く前に岩塩の代わりにシナモンシュガーを振りかけるのが一番簡単でおすすめです。また、焼き上がったプレッツェルに溶かしチョコレートをコーティングするのも美味しいですよ。
- チーズを乗せても美味しいですか?
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もちろんです!ケトリングが終わった生地に、ピザ用チーズをたっぷり乗せてから焼いてみてください。塩気とチーズのコクが相性抜群で、おつまみにもぴったりです。
- 残ったプレッツェルはどう保存すればいいですか?
-
粗熱が取れたら、乾燥しないように一つずつラップに包み、保存袋に入れて常温で保存してください。翌日までには食べきるのがおすすめです。もし翌日以降に食べる場合は、冷凍保存が良いでしょう。食べる時に、オーブントースターで軽く温め直すと、焼きたての食感が戻ってきます。
まとめ & CTA (行動喚起)
プレッツェル作り、いかがでしたか?
プレッツェル作りの成功の秘訣は、高価な道具や特別な才能ではなく、「重曹で茹でる」という科学と、「生地がベタついても焦らない」といったいくつかの「失敗しないコツ」を知っていることだけです。
この記事をここまで読んでくださったあなたは、もうプレッツェル作りに必要な知識は十分に身につけています。あとは、キッチンに立って、生地の感触や発酵して膨らむ様子、オーブンから漂う香ばしい香りを楽しむだけです。
さあ、今週末は、焼きたてプレッツェルの香りが漂う素敵な休日を過ごしてみませんか?もし美味しそうに焼けたら、ぜひSNSで #一番やさしいプレッツェル のハッシュタグを付けて、私にも教えてくださいね!
参考文献リスト
この記事を作成するにあたり、以下の専門的な情報を参考にしました。
